国産と中国産の畳はどこが違うの?品質や価格の違いは?畳のプロが国産畳と中国産畳の違いを見た目や品質、スレに対する耐久性や気になる価格面から解説します。

畳や上敷きなどに使われている「藺草(いぐさ)」ですが、いったいどこで生産されているのかご存知でしょうか?い草の産地は大きく分けて日本産と外国産の2つに分けられます。

現在、日本国内で使われているい草で織られた畳表の80%以上が外国から輸入された畳表だという事をご存知でしょうか?そのほとんどが中国から輸入された畳表です。

そして、国内で最も多く「い草」の生産が行われている地域は熊本県です。国内シェア90%以上が熊本県で生産されています。

一昔前までは熊本県以外に福岡や広島、岡山に高知に石川など各地でい草が生産されていましたが、畳の減少や中国産の台頭により年々生産量が下がり、今では生産が途絶えてしまった地域や生産農家さんが数件しか残っていない地域もあります。

国産シェア1位の熊本県でも平成元年には5800件ほどあった生産農家さんが、今では300件ほどに激減してしまいました。

中国で生産されているい草も、元をたどれば日本から持ち込まれた苗から作られており、日本企業の指導もあって以前に比べれば生産技術は飛躍的に向上しましたが、国産の畳表と中国産の畳表とではいったいどのような違いがあるのでしょうか?

国産と中国産の違い

見た目の美しさの違い

毎日畳に触れている畳屋さんでなければ、ぱっと見でこっちが国産でこっちが中国産だと見分けることは難しいと思います。

見分けるポイントは、よ~く見てみると中国産の畳表は国産に比べてい草の太さや色にムラが多く見受けられます。国産の畳表は、製造工程で「い草の選別」が細かく行われています。

畳一枚に4000本~7000本ものい草が織込まれています。一つの田んぼから取れたい草すべてが畳表に使われるのではく、中には畳表に織れないほど短いものや出来の悪いい草もあります。そのようない草が混ざらないように細かく等級分けする作業が選別作業です。

こうして手間暇をかけて選別された国産の良質な畳表は、太さが均一で色ムラも少なくなるのです。

国産と中国産の違い

もっとも違いがでるのが耐久性

国産と中国産の違いが最も現れるのが耐久性かもしれません。刈り取ったい草を乾燥させる工程が大きく違うため耐久性に差が出てきます。

中国から輸入される畳表は船便で送られてきます。コンテナの中でカビが生えないように短時間に高温で熱を加えるため、い草が乾燥しすぎて表皮がガサガサにもろくなってしまいます。そのため使っていくうちにササクレが出やすくなってしまいます。

国産のい草は刈り取られた後、泥染めという工程の後、60℃ほどの温度で15時間前後じっくりと時間をかけて乾燥させます。この乾燥のさせ方の違いが耐久性に現れます。

※ちなみに「泥染め」とは、い草の乾燥を促進させる作用や変色を防ぐため、また畳特有のあの良い香りが泥染めによって生まれます。

い草の刈り取り

泥に漬け込みます

泥染め後、じっくりと時間をかけて乾燥させます

国産と中国産の違い

価格は中国産の方がリーズナブルでもおススメは絶対国産!

同じものなら安いに越したことはありません。しかし、一見同じに見える国産と中国産の畳ですが、見た目の美しさや耐久性の面からも大きな違いがあります。

国産に比べ中国産の方が価格面からみたらリーズナブルです。しかし、先にも書きましたように、手間暇をかけた分だけ見た目の美しさや品質、スレなどに対する耐久性に差が出るため、長い目で見たら中国産に比べちょっとお高くはなってしまいますが、国産の方がお得と言えるのかもしれません。

国産の畳表は選別作業を細かく行い等級分けされていますので、使用するお部屋の用途によって選ぶことが出来ます。

よく使う部屋や仏間は耐久性が高く良質ない草のみで織られた高級品、わんぱく盛り・育ち盛りのお子さんがいて頻繁に畳替えをするお部屋はリーズナブルなものになど、使用目的に合わせてお選びください。