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畳といえば藺草(いぐさ)で織られた畳表(たたみおもて:畳の表面のゴザ部分)、稲わらを何層にも重ねて作られた藁床(わらどこ:畳の土台部分・畳の芯材)といったように、全てが自然素材で作られていることが当たり前でした。
しかし現在では、畳床(たたみどこ)と呼ばれる土台部分は木質系のインシュレーションボードと発泡ポリスチレンを合体させた畳床が主流であり、畳の表面部分の畳表(たたみおもて)も樹脂製や機械すき和紙の新素材畳表が増えてきました。
最近の住宅では、ふすまや障子で仕切られた昔ながらの和室が少なくなり、リビングの一角に畳コーナーや畳スペースといった感じで畳が採用されることが多くなり、畳の色もフローリングや壁紙と統一したい、もっとシックな色の畳が欲しい・可愛い色の畳が欲しいといった意見が多く、畳も変化をしなければ生き残れなくなってしまいました。
そして、新築やマンションでは昔ながらの縁の付いた畳よりも、半畳サイズの縁なし畳(琉球畳風)が採用されることが多くなり、自然素材の藺草の畳表をしのぐ勢いで樹脂製や機械すき和紙の新素材畳表が使われるようになってきました。
そこで今回は、縁なし畳に使われることの多い樹脂製や機械すき和紙から作られた畳表、新素材畳表のメリットとデメリットを解説します。
新素材畳表とは?
当初は飲食店や旅館など、業務用で採用されることが多かったのですが、豊富なカラーバリエーションやお手入れのしやすさから最近では一般住宅でも使用されることが多くなりました。
樹脂製
樹脂(ポリプロピレン)を加工して織られた畳表です。
樹脂製なので日焼けによる色あせが少ないので、陽当たりのいい部屋に向いています。また自然素材に比べてカビにくいので、湿気やすいお部屋にも向いています。液体をこぼしても浸透しにくいので、食事をするスペースなどに使用しても安心です。
機械すき和紙
機械すき和紙をこよりにして織られた畳表です。
樹脂製の畳表と同様に、日焼けによる色あせが少ない、カビにくい、液体が浸透しにくいのが特徴です。
新素材表のデメリット
藺草のような作用はありません
自然素材ではありませんので、あの心の安らぐ爽やかな藺草の香りはしません。
また藺草の特徴でもあるお部屋の湿度を調整する湿気の吸放出作用や嫌な臭いや有害物質を吸着する作用もありません。
凹み・汚れ・すり傷が目立つ
長い間使用しても藺草のようにササクレが衣服にくっ付いてくる事はありませんが、ちょろちょろと細い繊維のようなものが出てくることがあります。
液体が浸透しにくいのが新素材畳表のメリットではありますが、永久にはじき続けるわけではありません。使用していくうちに徐々にではありますが撥水性は薄れていきます。
上質な藺草で織られた畳表は、年数が経過するごとに飴色に変化して行くのとは対照的に、新素材畳表は一番最初が綺麗のマックスで、年数が経つごとに汚れていくといった感じです。
藁床との相性が悪い
稲わらから作られた昔ながらの畳床(たたみどこ:畳の土台部分)は、何層にも重ねた藁を圧縮して作られているため、多少なりとも凸凹があります。新素材畳表はその凸凹をひろいやすく、藁床(わらどこ)との相性が良くありません。
新素材畳表を使用したい場合は藁床ではなく、最近主流の建材床を使用することをお勧めします。
まとめ
自然素材、新素材どちらにも一長一短があります。お部屋の使用用途やこんな部屋にしたい!というご希望に沿った畳表を選んでいただければと思います。